
【開催レポート】森子大物忌神社で、神道の叡智を学ぶ特別プログラム

森子大物忌神社で、神道の叡智を学ぶ特別プログラム 開催レポート
ツアー概要
今回、【秋田・由利本荘】森子大物忌神社で一日限りの特別体験。
秋田県由利本荘市に鎮座する森子大物忌神社にて、食文化と日本文化、そして神道の精神に深く触れる一日限定の特別体験を開催しました。このイベントでは、由利本荘市が誇る鳥海山の恵みである新米を使ったおむすび体験を通じた「食の祈り」と、異色の経歴を持つ神職による特別講話や神社の由緒を学ぶ特別ガイドを組み合わせました。そして希望者限定の「宵の宮を再現した特別参拝」は、参加者にとって滅多にない神秘的な体験となりました。
開催日時:2025年10月4日(土)10:00〜13:30
企画:森子大物忌神社、株式会社LAMBDA・JAPAN

森子大物忌神社──ウカノミタマノカミの鎮座地
神職の特別講話:神道の柔軟な信仰
イベントは、元航空自衛官であり俳優かつ現役の神職という、異色の経歴を持つ加藤たかあき氏による特別講話からスタートしました。
加藤氏は、日本の神道の起源が岩や山、木などの迫力ある自然物を崇拝するアニミズムにあると解説。多くの外国宗教に見られるような厳格な教義や、「信じなければ罰が当たる」というゼロイチの世界観ではなく、「信じても信じなくても罰や制約がない」柔軟な信仰が神道の大きな特徴であることを強調しました。そして日本の神社はもともと地のエネルギーが強い場所、例えば温泉の近くに建てられたことも多いということです。
また、神道の神職は社会と深く関わり続けるのに対し、仏教の僧侶は世俗から離れるという違い、そして「氏神」や「産土神」の概念についても触れ、日本の神様には失敗や償いの物語があり、それが人間味を感じさせると語られました。参加者は「神道の面白さ」を新鮮な視点で感じられた貴重な時間となりました。

鳥海山の恵みをいただく「おむすび体験」
続いては、食の体験。鳥海山の清らかな水で育った秋田のお米を使用し、参加者自身でおむすび作りを行いました。秋田でも指折りの美味しさを誇る新米を、地元の具材や郷土料理(味噌汁、お惣菜など)とともに味わうことで、土地の恵みに対する感謝の念を深めました。今年とれたての新米を、自分の手で結んだ塩おむすびの温かさと美味しさは、参加者から特に好評でした。

そして、森子大物忌神社の麓にある森子集落の皆さんからのサプライズプレゼントとして、地域の川で採った新鮮なカニを参加者全員に配ります。関東からの参加者は、初めて見る”川ガニ”に衝撃の様子!

現役禰宜による特別ガイドツアー:歴史と信仰を学ぶ
禰宜による境内ガイドツアー
食後は、森子大物忌神社禰宜である多田愛氏による神社境内ツアーを実施しました。
多田さんは昨年2024年3月にこれまで宮司を務められていた祖父が他界され、その年の8月に神職の資格を取られ、現在は秋田と東京を行き来しながら、森子大物忌神社の存続にご尽力されています。「多くの仲間に出会い一緒に学んで、”神社”という存在の重要性を感じた」と話す、多田さんから、先祖代々残されてきた森子大物忌神社について、参加者と一緒に境内を歩きながらご案内いただきました。

御祭神はウカノミタマノカミ様であり、古くから稲魂(いなだま)の神とされてきました。これは、鳥海山の雪解け水がこの地域一帯の田畑を潤す、米作りに欠かせない命の源であることに由来します。
また、社名にある「大物忌」の深い意味について。「忌」と聞くと少しマイナスのイメージを持ちますが、「畏敬して祀ることでその力を恵みに変える」という意味だそうです。「物」とは古代の言葉で「人智を超えた霊威・自然の大きな力」を指し、であり、「自然の巨大な力を畏れ祀り、その恵みを受ける」という森子大物忌神社の信仰の心について解説いただきました。

さらに、普段は入ることのできない拝殿内にて、薬師如来の眷属である十二神将を拝見しました。十二神将が一人ひとりの干支と結びついて守護神となっていることや、中央の薬師如来とともに日光菩薩・月光菩薩が配されていることが解説されました。この仏像群の存在は、当社がかつて山岳信仰と神仏習合の拠点として栄えた歴史を今に伝えているとのこと、参加者は自身の日常と結びつけながら深く学ぶことができました。

宵の宮を再現した「特別正式参拝」
イベントの最後には、希望者のみを対象に、宵の宮を再現した神秘的な空間での正式参拝を行いました。蝋燭の灯りだけを頼りに行う参拝は、厳かで特別な余韻を残しました。禰宜が一つひとつの作法を丁寧に解説しながら進行してくださったため、普段は意識しにくい「祈り」の世界を深く体感することができました。


土地の歴史・文化・食をつなぐ体験
本イベントは、食、歴史、文化、信仰という色々な視点から、現役の神職のお話を通じて深く掘り下げることができ、参加者の皆様からも喜んでいただくことができました。特に、神道の教えを現代の暮らしに落とし込む講話と、地元の恵みを味わう体験の組み合わせが、多くの参加者の心に響いたようです。
今回のツアーは、観光だけでは見えない森子大物忌神社の物語を体験するものでした。LAMBDA・JAPANでは今後も、神道をテーマに、地域の文化や食と結びついた体験ツアーを展開していきます。参加してくださった皆さま、本当にありがとうございました。
